債務整理のデメリット

債務整理のデメリットについて考える

デメリット

 

債務整理を考えている方は、借金をなくしたい、返済する金額を少しでも少なくしたいと思っているかと思います。
でも、債務整理をした場合どんなデメリットがあるか、気になってはいるが、具体的にどんなケースがあるのかわからない方がほとんどだと思います。

 

家族までブラックリストに載ってしまう
一生家族も、ローンやクレジットカードが使えない
子供の就職が難しくなってしまう
財産はすべて処分しなければならない
海外旅行に行けない
生活保護がもらえるか
年金がもらえなくなる
戸籍や住民票に記載される
給料が自由に使えなくなる
引越しができない
近所の人にばれてしまう

 

などなど、いろいろなことがデメリットとして言われています。

 

ほとんどはデマなんですが、注意しなければならないホントのデメリットも確実にあります

 

これらの例以外にも気をつけておかなくてはいけないデメリットが、債務整理の種類ごとにあるので、任意整理、個人再生及び自己破産並びに特定調停と、債務整理と併用したり、単独で手続きする過払い金請求を行うときのデメリットがありますので、それらについて検討してください。

 

債務整理の手続は、複雑で専門性の高い申請です。

 

任意整理についてノウハウのある専門家である弁護士、認定司法書士のいる法律事務所に相談して解決することをお勧めします。

 

まずは、債務整理をしたらどういうことが起こるのかチェックしてみて、その上で法律事務所に相談してみてください。

 

債務整理の種類別デメリット

 

債務整理は、借金の整理や生活の立て直しをはかるために行うものなのですが、その手続方法として4種類の方法があります。

 

裁判所を使う手続としては、債務を免責してもらい財産を処分する「自己破産」、借金を圧縮して計画的に返済する「個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)、調停委員を交えて債権者と借金について交渉する「特定調停」があります。
そのほかに、裁判所や公的機関を通さないで金融業者と直接話し合う「任意整理」があります。

※特定調停は、債権者との和解が成立するのはわずか3%で、現在はあまり利用されていません。

 

また「過払い金請求」という手続もあります。
これは債務整理とは少し違いますが、債務整理と同じようなデメリットがありますので、これら5つについてうわさのデメリットを見ていきます。

 

家族までブラックリストに載ってしまう?

家族までブラックリストに載ってしまう

 

ブラックリストに載るのは本人のみに課せられるデメリットで、家族は載るわけではないのでデメリットにはなりません。
「家族まで」という部分がデマ。

 

借金したためブラックリストに載ってしまう、、、といってもブラックなリストがあるわけではありません。
ブラックリストとは、債務整理を行うことで、借り主の債務不履行の情報が、「事故情報」として信用情報機関に記録されることをいいます。
そのため、債務整理をしてから5年から7年の間、クレジットカードを作ることができず、当然カードも使えず、ローンも組めなくなったりします。

 

債務整理(任意整理・自己破産・個人再生・特定調停)の場合は、どの方法でもブラックリストに載ってしましますが、過払い金請求の場合は、2010年からブラックリストに載ることはなくなりました。

 

(※)債務整理のデメリットのほとんどは、このブラックリストに載るということから起因しています。

 

信用情報機関とは

 

信用情報機関は、

 

CIC 株式会社シー・アイ・シー:消費者金融系
JICC 株式会社日本信用情報機構:クレジットカード、信販系
KSC 全国銀行個人信用情報センター:銀行からの借り入れ・銀行系カードローンなど

 

の3種類あります。
信用情報機関により、いわゆるブラックリストに、5〜10年記載されます。

 

各信用情報機関は、CRINというネットワークで信用情報を共有しているので、債務整理をしたら基本的にローン、クレジットカードは使えなくなります。

 

ブラックリストに載るのは本人のみです。

 

家族のものがクレジットカードを作ったり、ローンで借り入れをする際参照されるのは、申請する家族のブラックリストを参照するだけです。
なので、本人がブラックリストに載ったからといっても、家族がブラックリストに載ることもないし、借入時に影響することもありません

 

もし、クレジットカードが作れないときは、たとえば収入が金融機関の基準に満たないとか、ブラックリスト以外の原因があるかもしれません。

 

家族にとって間接的なデメリットとしては、本人が世帯主の場合、住宅ローンが組めない、カーローンが使えないということはあります。

 

あと、子供が高校大学に行くときの奨学金の申込みの際の連帯保証人になることができない場合があります。
そんなときは、ほかの連帯保証人を探したり、保証会社を使う必要があるかもしれません。

 

※ブラックリスト(異動情報)は、一定期間を経過したら自動的に削除されますが、期間途中で「ブラック情報を消す方法」というのは存在しないので、ネットでそういうサイトを見かけたら詐欺の手口だ!と思ってください。

 

一生家族も、ローンやクレジットカードが使えない?

 

一生家族も、ローンやクレジットカードが使えない?

 

一生」という部分がデマです。

 

債務整理をすると本人は、5〜10年は、ブラックリストから消されない限り、クレジットカードを作ったり、住宅ローン、カーローンなどを組むことができません

 

もちろん家族の方は収入等借入先の条件を満たせば、いつでもクレジットカードも作れるし、ローンも大丈夫です。

 

 

子供の進学・就職が難しくなってしまう?

 

子供の進学・就職が難しくなってしまう?

 

基本的にデマです。

 

子供にとって親である本人の債務整理が直接デメリットになることはありません
あくまでも債務整理をした親本人だけがデメリットを享受することになります。

 

親が債務整理をしたという事実は、戸籍とか住民票などに記載されることはないので知られることもないし、基本的には「子供の進学・就職には、影響がない」といえます。

 

一部の企業や、銀行、一部の公務員など、親・家族などの信用情報を細かく調査する職種がある可能性もゼロではないので、一部の企業ではデメリットになるかもしれません。

 

が、ほとんどの企業がチェックするのは子供本人なので、まず心配いりません。

 

 

財産はすべて処分しなければならない?

 

財産はすべて処分しなければならない?

 

このデメリットは、一部本当です。
このデメリットは、債務整理の種類によって違います

 

強制的に財産を処分しないといけない債務整理は、「自己破産」の手続です。

 

処分すべき財産は、20万円以上の高額な財産(有価証券、土地、マイホーム、車など)で、「すべての」財産を処分しなければならないわけではありません。
99万円の現金、20万円以下の預貯金、差押禁止動産、生活必需品などは、自己破産後の生活の立て直しを図るための財産として手元に残すことができます。
もちろん、処分すべき財産は、自己破産の申し立てた本人の財産のみで、家族所有の財産は処分の対象外です。

 

個人再生・任意整理では、比較的自由に処分する財産・手元に残す財産を選択することができます。

 

個人再生でしたら、分割払いで支払う借金以外は基本残すことができます。
マイホーム・車も残せます。
ただし、車をカーローンで組んで購入した場合、車の所有権はメーカーの方に保留していることがほとんどなので、任意整理をすると、自動車は債権者に引き上げられてしまいます。

 

任意整理も、財産を強制的に処分する必要はありません。
任意整理は、支払いする借金を選択できるので、マイホームの住宅ローンは任意整理の対象債権からはずし、また、仕事で使っている車のカーローンの支払いもそのまま継続することで、ローン中のマイホーム、マイカーを手元に残すことも可能です。

 

海外旅行に行けない?

海外旅行に行けない

 

このデメリットは、ほぼデマです。
特定の債務整理で、特定の期間のみ、旅行の制限があります。

 

海外旅行がOKな債務整理は?

 

裁判外の任意整理、裁判上の個人再生や特定調停については、海外旅行について、特に制限はなくて、デメリットではありません。
これらは返済することを前提の債務整理なので、分割払いの場合、借金の返済の条件を守って、毎月支払を履行していれば、借金返済中でも海外旅行にいくことは自由です

 

ただ、実際問題として、海外旅行に行くと最近は、ホテルのチェックインの時とか、レンタルカーを借りるときなど、クレジットカードが必須な場面が多くなっています。
債務整理をすると、クレジットカードが使えなくなるのでちょっと不便かもしれません。

 

さて、「海旅行にいけない」がデメリットとなる場面は、「自己破産の手続き期間中の破産管財事件」の時です。

 

正確には、「海外旅行にいけない」ではなく、破産管財事件の自己破産手続期間中は、財産隠しや逃亡防止のため、転居や長期の旅行が制限されているため、裁判所の許可がないと「長期の旅行」に行けないということです。

 

自己破産の手続中、破産管財事件では、破産法37条(破産者の居住に係る制限)にあるように、破産管財人が破産した人の財産を管理処分するために本人の所在を把握して円滑な破産手続をするために必要な制限です。
とはいっても海外旅行が絶対だめというわけでもなく、仕事上どうしても海外出張をしなくてなならないこともあると思うので、こういった場合には裁判所の許可を得て、旅行することも可能だと思われます。

 

海外旅行(長期の旅行)が制限されるのは、破産管財事件で自己破産の手続期間中なので、破産申立後同時廃止のケースや、免責の決定以後は、自由に旅行ができます

 

というわけで海外旅行については、ほぼデメリットではないということです。

 

 

生活保護をもらえるか?

 

生活保護をもらえるか?

 

債務整理の種類により、デメリットとなります。

 

生活保護法 第1条

 

 この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

 

引用URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO144.html

 

その趣旨からいくと、

 

1.生活保護中の、任意整理の手続きは微妙
2.生活保護中に自己破産の手続きをしてももらえる
3.生活保護中の個人再生の手続はほぼできないし微妙、特定調停も同様

 

となります。

 

各場合について、説明します。

 

生活保護中の任意整理は微妙

 

生活保護中でも、債務整理して少しでも借金を返したいという方は、たくさんいます。
それは、生活保護費を借金の返済に使いたいということです。

 

生活保護費の用途についてはとくに法律上の制限はありませんが、生活保護制度の趣旨からいくと、生活保護費の全額を借金の返済に充てるのは明らかに許されれない行為なので、生活保護が中止される可能性が高いです。

 

生活保護費の一部を使った場合などは、生活保護費の用途の制限がないので、理論上は借金返済に充てることも可能と思われます。

 

最近は、不正受給が横行したので、世間の目も厳しくなり、福祉事務所・町村役場の職員の対応も厳しくなり、生活保護費は、生活費に充当すべきであるとし、借金の返済に充てることは認めないとして、生活保護の中止されるケースもあるようです。

 

しかし、本人の親族などが借金を肩代わりしてくれる場合には、生活保護中の任意整理が認められても問題ないでしょう。

 

任意整理には、そんなリスクやデメリットがあるので、任意整理ではなく自己破産をお勧めします。

 

生活保護の受給中に自己破産をしても生活保護費がもらえる?

 

自己破産の申立は、本人が「支払不能の状態にあること」が要件ですが、生活保護受給者は、基本的に資産もなく、生活を援助してくれる人もいない、最低限度の生活も送れない状態なので、当然借金も返済する能力がない「支払不能の状態にある」といえます。

 

なので、生活保護受給者が自己破産の手続をとることは全然問題ありませんし、それによって生活保護費がもらえなくなることはありません

 

なによりも生活に困窮している状態で任意整理をして、さらに借金返済して生活を苦しくするより、自己破産で生活を立て直すほうがいいかもしれません。

 

生活保護を受けている場合は、法テラス※を利用して債務整理に関する無料法律相談を受けたり、自己破産も仕立ての際の弁護士・司法書士の費用や、破産申請時の予納金の一部20万円を限度に立て替えてもらうことができます。
また、破産手続の終了時に生活保護を受けていれば立て替えてもらった費用の支払も免除となりますので、ぜひこの制度を利用してください。

 

(※)法テラスの役割は、無料法律相談ができるようにすること、弁護士・司法書士などに依頼するときの裁判費用の立て替えをする、の2つです。

 

生活保護受給中の個人再生・特定調停は、ほぼできないし、微妙

 

個人再生の手続きには、小規模個人再生と給与所得者等再生がありますが、これらに共通する申立要件として「債務者に継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」というのがあります。
また、特定調停は、貸金業者との話し合いで将来利息のカットなどをしてもらい、借金を返済することです。

 

いずれの場合も、借金の支払い能力があることが前提で、生活保護受給者は借金の支払い能力がないので、個人再生・特定調停の申立はできないというデメリットがあります。

 

個人再生・特定調停で借金を返済していることが役所にわかると、生活保護を中止される恐れがあります。

 

債務整理中に生活保護を受けたい

 

逆に債務整理中に生活保護を受けることはできるでしょうか。

 

生活保護は、最低限度の生活を保障するための制度ですので、生活保護の申請は可能です。
ただし、役所は生活保護費を借金の返済に充てることを懸念して、まず自己破産をしてから生活保護の申請をするよう勧められます

 

自己破産の手続を選択する場合は、自己破産の申立をし、生活保護の受給証明書を役所の福祉事務所に提出すれば問題なく申請でき、生活保護受給者になれます。

 

また、自己破産をせずに、生活保護を申請して申請が認められた場合は、貸金業者に対し、任意整理・個人再生で約束した借金の返済を、生活保護受給期間中の猶予をお願いしてみるという流れになります。

 

生活保護の申請が認められないときは、最終的には自己破産を考える必要が出てきます。

 

年金がもらえなくなる?

 

年金がもらえなくなる?

 

デマですが、気をつけなければならない点もあります。

 

年金(国民年金・厚生年金・共済年金など)は、最低限の生活を保障するもので、社会政策的な意味からも、年金の受給権は差押が禁止されていますので、年金が差し押さえられることもないし、債務整理をしたからといって受け取る金額が少なくなることもありませんし、止められてしまうこともありません。

 

自己破産においては、年金は差押禁止財産とされていますので、生活費として使用することができます。

 

ここで注意しないと行けないのが、差し押さえられないのは「年金の受給権」で、年金がお金として銀行や郵便局に振り込まれると、「年金の受給権」から「預金債権」に性質が変わってしまいます。

 

「預金債権」は、差押禁止債権ではないので、「預金債権」であるお金が差し押さえられてしまうことになります。

 

なので、借金などで預金を差し押さえられる恐れがあるときは、それとは別に年金受け取り用の口座を作って、年金の振込先を変更しておく必要があります。
ここが大きなデメリットとなる部分です。

 

もし、口座変更が間に合わなくて、年金が差し押さえられても、債権者が銀行から取り立てするまでに、裁判所に対し「差押禁止債権の範囲の変更の申立」を行うことで、年金額に相当するお金(「預金債権」)を差押禁止債権とすることができます。

 

個人年金の場合

 

また、個人年金の場合はどうでしょうか。

 

以上のような年金(国民年金・厚生年金・共済年金など)は、公的年金で、社会政策的な意味からも差押が禁止されていますが、個人年金は、文字通り個人が老後の生活のためにかけている個人資産という位置づけなので、差押もされるし、自己破産の場合などは財産として処分されることになります

 

戸籍とか住民票に記載される?

 

戸籍とか住民票に記載される?

 

債務整理をすることによって、戸籍とか住民票に載ることはありません

 

債務整理をしたという事実が記載されるのは、自己破産のケースは、官報・破産者名簿・ブラックリスト(信用情報機関)、個人再生のケースは、官報・ブラックリスト(信用情報機関)、任意整理や特定調停のケースは、ブラックリスト(信用情報機関)です。

 

官報を見るには?

 

官報を見るには?
インターネットで官報を見る
引用:http://www.npb.go.jp/ja/today_kanpou/20161222/20161222h06925/20161222h069250000f.html

 

官報にを見れば、債務整理(自己破産・任意整理)したことを、他人に知られてしまいますが、官報へ掲載されたことを知るには、当たり前ですが官報を見ないとわかりません。
官報を見るには、官報を購読(各県に官報販売所がある)する方法、インターネット・図書館で見る方法があります。

 

しかし、官報を見る人は、個人信用情報機関・市区町村役場・税務署・銀行関係・不動産関係・保険会社など限られた職種の方しか見ないので官報から知られることはほとんどないでしょう。

 

破産の場合、登記簿に記載されるか?

 

会社の場合は、会社の謄本(商業登記簿)に破産開始の登記が載ります。
個人の場合は、不動産登記簿に記載される場合とされない場合があります。

 

給料が自由に使えなくなる?

給料が自由に使えなくなる?

 

給料を差し押さえられるのは、債務者にとっては大きなダメージ(デメリット)です。

 

給料を差し押さえられた場合、債務整理の種類よって、給料の金額によって、また、ある期間で、給料が使えなくなることがありますが、免責決定をもらば最終的に給料は全額受け取ることができるようになります

 

自己破産の場合

 

自己破産の場合は、破産手続の開始決定の時に支払われる未払いの手取り給料の4分の1(ただし、給料が44万円を超える場合は33万円を差し引いた金額)が、差し押さを受ける額となります。

 

例1:給料(手取り)が20万円の場合

 

20万円÷4=5万円が差し押さえられる金額

 

例2:給料が50万円の場合

 

44万円を超えるので、50万円−33万円=17万円が差し押さえられる金額

 

この金額は、免責決定後に全額を受け取れることになりますが、差し押さえを受けた給料の額がかなり高額の時は、破産手続きで換価処分されてしまうこともあります。

 

自己破産手続開始の決定後の給料

 

自己破産の手続きで差し押さえられるケースは、破産手続の開始決定の時に受取れる未払いの給料で、まだ受け取ることができない破産手続き開始の決定以後の給料は、差し押さえられません。

 

もちろん免責決定が出てからの給料も差し押さえられることはありません。

 

自己破産手続開始の決定前に給料を差押られた場合

 

自己破産手続開始決定前に貸金業者から給料の差押をされている場合でも、自己破産の開始決定で差押えは停止となるので、最終的には給料の全額を受け取ることができますが、受け取れる時期が破産手続により異なります。

 

管財事件の場合は、破産手続開始の決定により差押は「失効」する(破産法42条2項)ので、決定以降は、破産者が全額を受け取ることができます。

 

破産法第42条
 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
引用URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html

 

自己破産が同時廃止の場合

 

同時廃止の場合は、破産手続開始の決定があったときに差押が中止となりますが(破産法249条1項)、「失効」ではく、免責決定の確定の時に「失効」するので、給料の全額を受け取れるようになるまで、少し時間がかかります。

 

破産時の退職金について

 

破産時の退職金について

 

東京地方裁判所の財産換価(自由財産拡張)基準に基づいて説明しますと、

 

・すでに退職しているが、退職金を受け取っていない場合は、退職金債権の4分の1が換価処分の金額となる
・まだ退職していないが、破産の手続中に、退職することがすでに決まっている場合は、退職金債権の4分の1が換価処分される金額
・退職をしてなくて、破産手続中に退職する見込みもない場合は、退職金債権の8分の1が換価処分対象になる

 

となります。

 

個人再生の場合

 

個人再生をするときに、給与の差押がある場合でも、差し押さえられた給与を取り戻せます。
ただし、個人再生手続の申立時、開始決定時、個人再生計画認可確定時では、取り戻しの手続が違ってきます。

 

差し押さえられるのは、給料から社会保険料や税金を控除した金額の4分の1ですが、この金額が44万円超の場合は、33万円を差引いた金額で、具体的には、もし50万円なら、50万ー33万で、17万円を差し押さえされることになります。

 

個人再生手続の申立時

 

個人再生手続の申立をすると、裁判所から強制執行(給料の差押)の中止命令をもらって、給料の差押を中止できます

 

個人再生手続きの開始決定時

 

申立をしてから約1か月で、裁判官は個人再生委員の意見を聞いて、問題なければ個人再生手続を開始決定します。
個人再生手続の開始決定がされれば、その時点で給料の差押は中止となります。

 

「中止」は「失効」ではない

 

給料の差押を「中止」しただけでは、もちろん「中止」なので債権者は受け取ることはできませんが、債務者も差し押さえられた給料を受け取ることはできません。
「中止」となった状態では、差し押さえられた給料は、勤め先の会社(雇い主)か法務局の供託所にプールされた状態になります。

 

差し押さえられた給料が帰ってこないと個人再生の分割支払いのための分割予納金の積立ができないなどの、個人再生をするためのやむを得ない事情があると認められたときは、給与の差押の取り消しをしてもらうことができます

 

取り消しが認められたら、それ以降の給料の全額と、中止期間中にプールされていた差押給与を受け取ることができます。

 

個人再生計画認可確定時

 

個人再生計画の認可が確定すれば、給料の差押は取り消しとなり、以後は給与差押の無い状態に戻るので、給料の全額を受け取れるようになります。

 

任意整理の場合

 

給料の差押は、債務者にとっては死活問題です。

 

裁判所で行う自己破産・個人再生・特定調停のケースは、債権者は、各開始決定されたら強制執行による給料の差押えをすることはできませんが、すでに貸金業者に勤務先より支払のあった分は取り戻すことはできません。
また、要件が整えば、差し押さえられた給料を取り戻すことができます。

 

任意整理の場合はどうでしょうか?

 

任意整理は、裁判所を利用する債務整理ではないので、給料の差押による強制執行を停止するかどうかの判断は貸金業者の側にあります。

 

そのため、貸金業者と任意整理方法について和解が成立しない限り、給料の差押えを解除してもらうのはむつかしいかと思います。

 

給料の差押えの停止は任意整理以外の方法でする

 

給料を差押えされて生活に窮し、任意整理がむつかしい状況で差し押さえの停止をしたいときは、裁判所を使う自己破産の開始決定・個人再生の開始決定などの債務整理を考えないといけないかもしれません。

 

任意整理中は引越しができない?

 

任意整理中は引越しができない?

 

債務整理をすると引っ越しができないの?と心配されますが、転居が制限されるのは自己破産の管財事件手続中の場合で、自己破産手続きが完了後は、まったく問題なく引っ越し可能ですし、その他の債務整理の方法については転居の制限はありません

 

なので、裁判外で貸金業者と交渉する任意整理の場合も、転居や旅行の制限はない、ということになります。

 

転居に制限があるのは自己破産手続きの管財事件のケース

 

引っ越し(転居)ができない(制限される)のは、破産法第37条により、裁判所の許可がいるようになるためですが、実際に許可がいるのは、自己破産手続のうち管財事件のケースで、自己破産申立前、同時廃止の場合には居住の制限はなく、裁判所の許可がいるのは管財事件で、期間は破産手続終了までとなります。
それ以外の債務整理の手続きにおいては居住地の制限はありません。

 

転居(長期の旅行を含む)の制限は、破産手続中の人が夜逃げや財産を隠すことを防止するためですが、破産管財人が同意する場合、裁判所の許しが下りないことはないようです。

 

破産の手続中は、破産管財人によって破産財産を管理処分していますので、転居により財産を隠匿・処分などされるの防止、勝手に引っ越しして自己破産手続の処理に支障をきたすなどを防止する意味があります。

 

ただ、転居ができないといっても、家賃の安いところに引っ越したい、家賃のいらない実家に引っ越したいということもありますので、この場合は、裁判所の引っ越しの許可は比較的下りやすいと思います。

 

ちなみに自己破産の同時廃止の場合は引っ越しの制限はありません。

 

アパート、マンションに引っ越す

 

債務整理をすると、ブラックリストに載ってしまい(信用情報機関に異動情報として記録される)ます。

 

通常不動産屋さん、仲介業者を介してアパート、マンションを借りることが多いと思いますが、入居の審査の際に、これらの業者は信用情報機関への照会は行うことはほとんどないので、引っ越しは債務整理のデメリットにはならない場合がほとんどです。

 

家賃の保証会社が必要なときは注意が必要

 

債務整理をしていて、アパート、マンションを借りるときに保証人を立てられなかったときや、賃貸保証会社の保障が必要な契約の時の審査に通らないことがあります。

 

賃貸保証会社が、アプラスやオリコ等の信販系の保証会社だと、信用情報機関へ事故情報などを照会することになるので、ブラックリスト状態であることがわかったら入居審査に落ちてしまうことがあるので、注意してください。

 

近所の人にばれてしまう?

近所の人にばれてしまう?

 

債務整理をする以上、夫・妻・家族・親・兄弟・仕事先・ご近所にばれてしまうかもしれないというデメリットは、リスクとしてあります。

 

家族(夫・妻・家族・親・兄弟など)に知られたら怒られる
仕事先に知られたら解雇されてしまう
ご近所にばれると子どもが学校に行けなくなる

 

などが気になるところでしょう。

 

リスクになりそうな例

 

同居している家族には知られる恐れがあります。

 

自己破産の場合ですが、弁護士・認定司法書士の事務所に依頼して、郵便物の送付先を弁護士事務所等にしたら、郵便物からは家族にばれることはないですが、自分で自己破産の申立をした場合は、自宅に裁判所からの書類が届くのでほぼわかってしまします。

 

家族、ご近所の人、他人にかかわらず、借金の連帯保証人になってもらっていると債務整理の事実はばれてしまうでしょう。

 

仕事先には、自己破産で給料を差し押さえられる、強制執行で給与の差押を受けたりすると知られることになります。

 

自己破産・個人再生をすると官報に、住所、氏名、生年月日などが掲載されます。
官報は、官報販売所で購入する、図書館・インターネットで見ることができますが、一般の方が興味を持って見れるものではないので、ほぼ知られることはないでしょう。
ご近所・知人に銀行関係者、役所の関係者、法律事務所、金融関係者、不動産関係者がいるなら、知られるリスクはあります。

 

いろいろな例がありますが、ご近所の方がまったくの他人であれば、ほぼ知られることはないかと思います。

 

家族にばれにくい債務整理とは?

 

自己破産・個人再生は、裁判所に本人に関する資料のほかに、家族や同居の人に関する資料の提出を求められることもあるので、ひとり暮らしでない限り、ほぼ家族には知られてしまうでしょう。

 

なので、家族にばれてしまうリスクを最小限に押さえる債務整理の方法は、「任意整理」ということになります。

 

任意整理は、弁護士・認定司法書士に頼めば、本人に直接借金の催促を禁じられるので家族に知られるリスクは少なくなります。
貸金業者とのやりとりも弁護士等が行うので、任意整理に関する情報がほかに漏れる可能性がかなり低くなるからです。

 

家族に内緒で債務整理をしたい方は、任意整理の一択ではないでしょうか。

 

そのほかの債務整理の方法を選択せざるを得ないときは、家族に知られること前提に債務整理を進めていきましょう。

 

債務整理のデメリットより、メリットの方が大きい

 

債務整理のメリット・デメリットのまとめとして

 

以上、さまざまなデメリットをみてきましたが、

 

借金がなくなる・減額できる
借金の厳しい取立てから逃れられる
精神的苦痛から解放される
生活を立て直すチャンス
毎月の支払におびえなくてもよくなる
信用を回復できるチャンス
平穏な生活を送ることができる
給料を全額受け取ることができる
人生設計を考えられるようになる

 

など、債務整理をすることによって得られるメリットの方が圧倒的に多いはずです。

 

債務整理を自分一人で解決できればいいのですが、法的な手続きを行わないといけないので、無理な場合もあると思います。
しかし、今後の生活のことを考えて、債務整理の専門家(弁護士・司法書士)に依頼し問題を解決してください。

 

ブラックリストに載り、今後の生活が不便にはなりますが、借金を完済して新たな生活を手に入れてください。